ソファやテーブルには、座る、置く、収納するといった役割があります。
一方でペンダントライトは少し特殊な存在です。もちろん部屋を照らすための道具ではありますが、実際には機能以上に「空間の雰囲気」をつくるために選ばれることも少なくありません。
だからこそ、照明を変えるだけで部屋の印象は大きく変わります。
今回は、そんな空間の主役になれるアイコニックな照明を集めました。
北欧の名作から現代のデザインアイコンまで。単なる人気製品ではなく、長く愛される理由を持つ照明ばかりです。
イサム・ノグチ|AKARI
1951年に彫刻家イサム・ノグチによって生み出された照明シリーズ。
岐阜県の伝統的な提灯づくりの技術と、ノグチの彫刻的な感性が融合することで誕生しました。現在も岐阜で一つひとつ製作されています。
AKARIという名前は、日本語の「あかり」に由来します。

和紙を通して広がる柔らかな光はもちろん魅力ですが、それ以上に美しいのは昼間の姿かもしれません。消灯していても、空間に静かな存在感を与えてくれます。
近年は北欧インテリアだけでなく、左官やコンクリートを用いたミニマルな空間にも取り入れられることが増えました。
装飾を増やすのではなく、余白そのものを美しく見せたい人におすすめしたい名作です。
GERVASONI|Brass 95 Pendant Lamp
1882年創業のイタリアブランドGERVASONIによるペンダントライト。
家具ブランドとして知られていますが、照明にも独自の世界観が反映されています。
Brass 95 Pendant Lampは、その名の通り真鍮を用いた存在感のあるモデル。金属素材でありながらどこか柔らかく、空間に自然に溶け込みます。

いわゆるホテルライクな高級感とは少し違い、素材の豊かさや経年変化を楽しむようなラグジュアリーさが魅力です。
FRAMAやAudo Copenhagenのような静かな北欧モダンが好きな人には特におすすめです。

Petite Friture|Vertigo Small
フランスのデザインブランドPetite Fritureを代表する照明。
デザイナーのコンスタンス・ギセによって生み出されました。
極細のフレームで構成された大きなシェードは、空気の流れによってわずかに揺れ動きます。その姿から「空気をデザインする照明」とも呼ばれています。
Vertigoが登場して以降、照明は光だけでなく、空間の中でどう見えるかがより重視されるようになりました。
大きなサイズにもかかわらず圧迫感がなく、空間に輪郭だけが浮かんでいるような不思議な存在感があります。
家具を増やさずに個性をつくりたい人にぴったりの一灯です。
Herman Miller|Nelson Triple Bubble Lamp
George NelsonによってデザインされたBubble Lampシリーズ。
1940年代に開発された軍用素材から着想を得て誕生しました。
Bubble Lampはミッドセンチュリーデザインを代表する照明のひとつとして知られており、現在もHerman Millerから販売されています。
Triple Bubble Lampは異なるフォルムを組み合わせた構成が特徴。
有機的なフォルムでありながらグラフィカルな印象も持ち合わせており、空間にリズムを与えてくれます。
ミッドセンチュリーが好きな人はもちろん、木と白を基調としたシンプルな空間にもよく似合います。
Serge Mouille|Three-Arm Ceiling Lamp

セルジュ・ムーユは1950年代のフランスを代表する照明デザイナーです。
細く伸びるアームと独特なシェード形状は、現在も多くの建築家やデザイナーに支持されています。
なお、今回紹介しているThree-Arm Ceiling Lampは厳密にはペンダントライトではなく、シーリングライトに分類される照明です。
それでもあえて紹介したのは、この照明が持つ圧倒的な存在感のため。
まるで線で描かれた彫刻のようなフォルムは、空間そのものをデザインしているようにも見えます。
ブラックを基調としたモダンな空間や、アートを飾るようなインテリアとの相性は抜群です。

&Tradition|Flowerpot VP1
デンマークの巨匠ヴァーナー・パントンによって1968年にデザインされた照明。
スペースエイジデザインを象徴する存在として知られています。
上下二枚の半球を組み合わせたシンプルな構造ながら、一目で分かる個性を持っています。
発売から半世紀以上経った現在も高い人気を誇り、多彩なカラーバリエーションも魅力です。


最近ではクロームやシルバー系カラーも注目されており、モダンな空間にも取り入れやすくなりました。
少し遊び心を加えたい人におすすめです。
Louis Poulsen|PH 5
1958年にポール・ヘニングセンによってデザインされた北欧照明の傑作。
Louis Poulsenを代表するモデルであり、世界中で愛され続けています。
最大の特徴は、複数のシェードによって光をコントロールする独自構造。
直接光源が見えないため眩しさが少なく、食卓を美しく照らしてくれます。
デザインとしての完成度はもちろんですが、照明器具としての性能も非常に優秀です。
長く使える名作を探しているなら、まず候補に入れたい一灯です。
Astep|Model 2065
イタリア照明界の巨匠ジーノ・サルファッティが1950年にデザインした照明。
現在はAstepによって復刻されています。
半透明の樹脂シェードによる軽やかな見た目が特徴で、大きなサイズでありながら圧迫感を感じさせません。
誕生から70年以上が経った今見ても古さを感じさせず、むしろ現代的に見えるほどです。
ミニマルな空間やモダンインテリアとの相性が良く、静かな個性を求める人におすすめしたい名作です。
Innolux|Sky Flyer

フィンランドのデザイナー、ユキ・ヌンミによってデザインされたペンダントライト。
1950年代の北欧デザインを代表する照明のひとつです。
飛行機の翼を思わせる有機的なフォルムが特徴で、その名の通り空を飛ぶような軽やかさを感じさせます。
北欧照明らしい柔らかな光と、彫刻的なシルエットを両立しているのも魅力です。
定番の北欧照明とは少し違う選択肢を探している人におすすめしたい隠れた名作です。
まとめ
照明は、家具以上に空間の印象を変えることがあります。
それは、機能だけで選ばれる存在ではないからです。
今回紹介した9灯は、それぞれデザインされた時代も国も異なります。しかし、どれも単なる照明器具ではなく、空間に個性を与える存在として長く愛されてきました。
部屋の雰囲気を変えたいとき、家具を買い替える前に照明を見直してみる。
それだけでも空間は驚くほど変わるかもしれません。

